Watchport/H Host 古材の分解4
Watchport/H分解も4回目になりました。1年越しですけど。。
今回は電源系を見てみます。USB給電から基板上のデバイスとRJ45側へ電源を出力していますので、これらを概観します。
電源系
基板上パタンを追ってみると系統は以下のようになっていました。略図も貼り付けます。
USB給電>+3.3V生成
USB給電>+5V生成>+12V生成
U1, Q1のシルクがつぶれて読めないのですが、機能性から推測です。
また素子のマーキングから型式を調べます。「マーキングから型式を検索」とか検索すると山のように検索サイトが紹介されますので、他力を拝借して調査します。
U1=PCNI=TI TPS76933DBV LDO, +3.3V出力, Enable付き
Q1=.238=不明
ドットから始まる3桁コードで調べたのですが、吸収合併の激しい業界のweb情報は既に新製品で上書きされ、検索で辿り着くことは素人の無銭家には無理そうです。恐らく「ドット+3桁」に製品とDateコードを含むのでしょう。無念です。
TI TPS76933DBV
データシートによると「ULTRALOW-POWER 100-mA LOW-DROPOUT LINEAR REGULATORS」です。超小型の超低電力の素子です。実装面積も小さく固定電位出力ですので使い易そうです。
- ジャンクション温度範囲 -40~125℃
- 推奨入力電圧 +2.7~+10V範囲
- 出力駆動電流 max 100mA
- ラインレギュレーション max 0.1%/V
AnalogDevices LTC1263
「12V, 60mAフラッシュメモリプログラミング電源」です。用途は読んで字のごとくです。この+12V出力電源をRJ45から外部へ給電するために使っています。DC-DCコンバータです。
- 電源電圧範囲 +4.75~+5.5V
- 出力電圧 +12V±5%
- 出力電流 60mA
- 動作温度範囲 0~70℃
機構はチャージポンプトリプラ―による+12Vへの昇圧です。外付け2個のコンデンサを並列で充電し、直列につなぎ直して一旦昇圧し、更に電源出力側のコンデンサを充電、内部のコンパレータが昇圧した出力電位から分圧したレベルとバンドギャップリファレンスを比較しチャージポンプをオン・オフし+12V±5%に安定化するというものです。
SHDN端子がありますので、必要な時だけ駆動することができますが、基板上でGroundに落ちていました。常にオン、+12V出力するという動作です。
Q1が不明
残念ながら型式が分からないです。入力はUSB給電された電源、出力は+5Vみたいです。周辺にはR,Cが接続され、またU4にも1線接続されています。推測通り「Q」であればFETだと思うので、スイッチ?でしょうか。U4からDC信号でオン・オフするのかも。
べたグラウンド
電源系統間には絶縁なしです、基板裏面には大きくGroundパタンがあります。電圧電流いずれも小さいので問題なしでしょう。
ESD対策・サージ対策
そうは言っても、RJ45端子とUSB端子にはESD対策が必要です。シルクからESD保護素子が配置されていることが分かります。型式までは不明なので耐性はデータシートから調べられません。
次回はデバイスU4 (TUSB3410I)を概観します。
おしまい